いち麦

ゴッズ・オウン・カントリーのいち麦のレビュー・感想・評価

5.0
TIL&GFF2018にて鑑賞。現実逃避してばかりいたジョニーが、頼り甲斐のあるゲオルゲを愛することで、厳しい現実に向き合う力を得ていく過程が素晴らしい。ジョニーがゲオルゲに惹かれる一端は、彼が少年期に与えられなかった父性愛と母性愛でもあるようで、それを窺わすプロットの隅々までも上手い。相手の魅力、きっかけやサイン、性描写も含めてきっちり映像で見せた恋愛作品の秀作。また、性行為の描写そのものがジョニーの内面の変化を反映している点は、ゲイ映画ならではで見応えあった。ゲオルゲを演じたルーマニアのアウレック・セケアアヌのイケ面度も魅力大。羊や牛の世話する野生味強く荒々しくも馴れた手捌きとその背景の纏う英国牧場の寂寥感も堪らない。

のむコレ2018でリピート鑑賞。一方のキャラを女性にすれば展開自体は良くあるラブストーリー。だがこの作品の魅力は尽きぬ。男と男の間ゆえの寡黙さや台詞の朴訥さも大きい一要素。その分、二人の異なる恋心を充分に伝える映像の威力。リピートして、ゲオルゲの方がジョニーに惹かれていく訳もきちんと描かれていると実感した。
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