蛸

ゴッズ・オウン・カントリーの蛸のレビュー・感想・評価

4.3
登場人物や、劇伴、台詞、舞台などなど…映画を構成する要素が非常に少なくて話の筋自体もシンプル。
舞台となるヨークシャーの荒涼たる風景が片田舎で荒んでいる主人公=ジョンの心情を表現しているようで良かった。
冒頭の、ジョンがミルクを飲んでそのまま口の周りを服の袖で拭うといった描写や唾液や吐瀉物周りの描写などが積み重なって彼の自暴自棄感がとてもうまく演出されていたと思う。
その荒んでいた若者が他の土地からやってきたゲオルグと会って成長するというお話のシンプルな力強さよ。このシンプルさは神話的ですらある。
同性愛を描いた映画ではあるんだけど、もっと普遍的なところにまで到達している傑作。
蛸