ゴッズ・オウン・カントリーのmsのネタバレレビュー・内容・結末

寂れた農場を継いだ鬱憤を酒とセックスで紛らわすジョニーと季節労働者として異国の地からやってきたゲオルゲ。空の高い広野に男が２人という構図は否応無しにブロークバック・マウンテンを彷彿とさせるけど、それとは根本的に扱ってるテーマが違う。
ジョニーとゲオルゲは同性に惹かれることに対しての引け目や背徳感を持っていない。少なくともそういう描写はない。だからこの映画を「BLだから」みたいな視点から評価するのはナンセンスだ。

孤独と閉塞感で自暴自棄になっていたジョニーが、泰然としたゲオルゲに出会って成長しようともがく、それだけでいいんや、それだけでこの物語の神話的ですらあるシンプルさには十分なんや・・・と映画の最後には思った。

曇り空の薄暗い広野で抱き合う二人はさながら動物のようで、その肌の白さにドキっとしてしまう。羊の出産シーンや死んだ子羊の皮を剥ぐシーン、命の描き方が容赦ないのも印象的だった。

そしてなによりゲオルゲへの恋心を自覚したあとのジョニーのデレ期！ジョニーむちゃくちゃ可愛い。

俳優の面差しもすごくいい。いかにもイギリスらしい高い頬骨と碧眼の青年ジョニーのなげやりな視線や所作の雑さ。なんとも「未成熟」な感じ。
そしてゲオルゲの力強い美しさよ…。白人ともアジア人ともとれる不思議なエキゾチックさを備えた温厚な佇まいのゲオルゲ、ブラウンの瞳の柔らかさとあたたかな色のセーターが最高だ。
オーディションで勝ち抜いた俳優さんらしいけど、これからもっといろんな作品で活躍してほしい。