bluemomday0105

ゴッズ・オウン・カントリーのbluemomday0105のレビュー・感想・評価

4.2
「神の恵みの土地(ゴッズ・オウン・カントリー)」と呼ばれる、自然豊かなヨークシャー地方。
日常に疲弊しやさぐれる、奔放な牧場の跡取りのもとに、東欧出身の季節労働者がやってくる。1人での仕事に慣れていた跡取りは、父親が勝手に雇った季節労働者を初めは疎ましく思っていたが、季節労働者の仕事への真摯な姿勢や懐の広さに惹かれはじめ、やがて体を重ねるように。今までになかった、丁寧に愛される悦びを知ることになるが…

もうこれハーレクインロマンスやん! たまたま男性同士ってだけで。それくらい普遍的な愛の物語。
「たまたまオーディナリーな設定じゃないだけ」っていうのは、ブラックパンサーやオーシャンズ8、クレイジーリッチ!と同様で。
観客が絶対思い浮かべるであろう、ブロークバック・マウンテンのような死にそうな苦悩も(偏見はあるだろうけど)、同性愛映画にありがちな耽美な雰囲気もない。むしろ結構生々しい。でも、だからこそ何の注釈もいらない愛の物語と受け止められる。

若者らしく夢を追うのを諦め、第一次産業を取り巻く厳しい現状や介護問題などの重圧から逃れるように、飲酒と刹那的なセックスを繰り返してきた酪農牧場の跡取りの青年ジョニー。
異国から来た季節労働者のゲオルゲに丁寧に愛され、だんだん表情に生気が宿り可愛らしくなってくるのが素敵でした。荒涼たるヨークシャーの景色も、だんだん色づき美しく見えてくるのは、恋に落ちたジョニーの目線かな。

愛されること、ひとりじゃないって思えることは強いし、誰しもが愛の力で生まれ変われるんだ。そんなポジティブで普遍的なラブストーリーでした。
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