おん

ゴッズ・オウン・カントリーのおんのレビュー・感想・評価

4.0
銀の匙-Silver spoon-

イングランドヨークシャー。
広大な牧場で祖父夫妻と暮らす跡継ぎのジョンは、日々酒と一夜限りのセックスに溺れる。
仕事の手伝いのため、一週間限定で訪れるルーマニア人のゲオルゲの登場で全員の人間関係が大きく変わり始める。

・感想
面白そうだったので試聴。
「ブロークバックマウンテン」に似てるとの評判でしたが、題材的に確かに似てる。
ただ個人的には、より「銀の匙」という日本の漫画に似てるかなと思いました。(作者は鋼の錬金術師の荒川弘さん。
畜産、酪農に携わる人々を描いた作品でめちゃくちゃ面白いのでおすすめです。)

ゴッズオウンカントリーに戻ります。
何故そう感じたかというと、牧場生活の描写と枯れていく生活の描写がめちゃめちゃリアルなんですよね。
フランシス・リー監督は、ずっとヨークシャーで育ち、実家も牧場経営をしていたそうで、このバックボーンがあるからこそ、リアルな映像と負の側面も描けたんでしょうね。

構成としては前半は
ジョンのパーソナリティ紹介→ゲオルゲとの出会い→心を開いて行き一目惚れ

といった流れなんですが、ここは綺麗だけどあまり得意ではなかったかな。
セリフがほぼなく、かつちょっとやり過ぎなくらいの官能的映像なんで、AV見てるんかと思うくらい笑
ある意味本物の映像を追求した監督と主演二人への褒め言葉かもしれませんが、リアル過ぎました。

後半の祖父の変化からは徐々にストーリーが動き始めて、キャラクター達も選択し始めてやっと映画を見始めたという感覚に戻ってこれました。

後面白かったのは、だいたいLGBTを描いた作品って、明確なLGBT以外の人が描かれて、その対比を使われることが多いのですが、本作それがあまり無いんですよね。
唯一祖母くらいでしょうか?出てくる若い男性は全員セクシャルマイノリティだったし、そういうのが特別と感じるのも、もはや古いくらいの時代なのかもしれませんね。

見応えのあるリアルな映像美でした。万人には勧められませんがいい作品。
おん

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