イチロヲ

団鬼六 緊縛卍責めのイチロヲのレビュー・感想・評価

団鬼六 緊縛卍責め(1984年製作の映画)
4.0
人身売買の仲介人(南城竜也)と接触した女性(高倉美貴)が、銀座の裏世界を牛耳る大富豪(小沢象)のもとに売られてしまう。SM調教後の女性の人生模様を説いている、日活ロマンポルノ。団鬼六原作。

奴隷に堕ちる代わりに高級クラブのママという地位を与えられた女性の生き様を追っている作品。裏社会からの脱出不能状態に陥った人間の「Let it go!」(流れに沿って進むしかない!)が扇情的に描かれている。

主人公の女性は、裏社会の深淵を知り、世間ズレした人間として登場する。高級クラブを手中にした姉に嫉妬心を燃やしている、猪突猛進型の妹(麻生かおり)を絡ませることにより、姉妹を対比させていく論法が取られている。

「隷属の歓び」を掘り下げているわけではないので、サドマゾ観点からのカタルシスは弱いが、「脱出不能」をキーワードにしたドラマとしては見応えあり。良い意味で紋切り型から逸脱しており、SM映画の奥深さを再確認することができる。
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