イチロヲ

秘蔵版 日傘の女のイチロヲのレビュー・感想・評価

秘蔵版 日傘の女(1984年製作の映画)
3.0
料亭に雇用された貧困層の生娘(親王塚貴子)が、高利貸し(喜田晋平)の情婦にされてしまう。薄幸美人の人生模様を描いている、日活ロマンポルノ。

帝国陸軍が闊歩する時代を背景にしている文芸調の作品。俳優の天知茂が変名で監督・脚本を務めており、自身の「アマチ企画」を立ち上げてからの船出となっている。だが、惜しいことに公開翌年にクモ膜下出血で急逝している。

日傘の女となったヒロインが、小説家の青年(中海加津治)と劇的な出会いを結実させるのだが、あいにく訳ありのためナンタラカンタラという物語。「脱出不能に陥った女性の自己実現」を説いていくパターン。

純和風を基調にしており、手堅く製作されている印象を受けるが、カット割りが不自然だったり、同時録音の音声レベルにバラつきがあったりなど、不格好な部分が散見される。だが、天知茂の個人的な趣味を享受する分には、こういうのもアリ。
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