じぇれ

バイスのじぇれのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
4.0
【悪夢のような共和党政権!?】

2001.9.11__崩れ落ちる塔を眺めながら、「チャンスが来た」と考えた副大統領の物語。

アダム・マッケイの人を喰った演出の数々に完敗。終始お腹を抱えて笑っていました。それでいて、エンドクレジットを観ながら、有権者として今自分ができることは何か真剣に考えさせられて......。

一見、リベラルによる右派批判のようですが、私には少し違う印象が。
チェイニーにも、その妻リンにも、青臭い部分があったはずなのに、いつしか変質してしまっている恐ろしさ。
スパイダーマンじゃありませんが、権力を握るということは負うべき責任も発生しているはず。
しかし、権力は人を変えてしまうんです。
今回は共和党政権をターゲットにしていますが、アダム・マッケイが民主党政権を批判する映画を作る日も来るんじゃないでしょうか。
それぐらいニュートラルな映画だと私は感じています。

なんて話をすると小難しい映画だと思われそうですが、コントを観る感覚で気楽に観てください。
アメリカの政治に疎い方でもわかるように、脚本に工夫がなされていますから。
ただただ笑いながら観ていればOKです!

※上映終了後、”アメリカ在住ジャーナリスト”という肩書きの方のトークイベントがあったのですが......
「他にも象徴するものがありました。わかりませんか?」
と挙手した観客を教師のように問い詰める場面があり、不快でした。
その後意気揚々とその象徴について”正解”を解説なさったのですが、そんなの鑑賞直後の観客に対してやることでしょうか?
せっかくアダム・マッケイが笑いにくるみながら、問題意識をさりげなく植え付けてくれたのに台無しです。
映画に授業は不要なんですよ。
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