芋けんぴ

バイスの芋けんぴのネタバレレビュー・内容・結末

バイス(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

今年見た映画の中ではだいぶ歯ごたえがあってのっけから面白かった!

時系列シャッフルやイメージシーン、第四の壁突破や型破りな二部構成(笑)などありとあらゆる演出要素を駆使してディックチェイニーの罪と罰と余波を描き、最終的に観客に「ま、お前らも大概バカだけどな!」とクソを投げつけて終わるという、大変僕好みな一作。

一見大雑把に作られているように見えて丁寧な演出もそここに光ってる。

例えばチェイニーのルアー釣りのごとき誘導シーン。前半では「チェイニーが仕掛けてますよ!」と言わんばかりに釣りのカットが丁寧に差し込まれていたが後半ブッシュにイラク戦争を決断させるときにはチェイニーの囁きの奥で水のせせらぎが鳴っているだけ。こういうテクニカルな演出があるからチェイニー自信の印象も大胆かつ巧妙な人物として残ってる気がする。

一番腹を抱えて笑ったのは前述の二部構成、もとい一度目のエンドクレジット(笑)

ここで終わってればまだ綺麗に終われていたのに、という監督の主観もろだしでそれが痛快でもあった。監督の思う「ここで終わってりゃよかったのに」というチェイニーのターニングポイントはこれ以外にもうひとつある。

心臓の発作でドナーも見つからず死にかけたときだ。

しかし、神の怒りか、国民の憎悪なのか、悪魔の悪巧みなのか。チェイニーは命をつなぎとめ、墓に持っていこうとしていた爆弾が目の前で次々と爆発していく様を見ていくことになる。

何億もの人々の人生と以後何百年続くかわからない混乱を引き起こしておいて、美しく終われると思うな、と何者かに言い渡されたかのように。

でもまぁ目の前で3000人殺された世界最強の国家の国民が戦争のひとつやふたつ起こさずに黙っていられたかと言うと……それもどうやろ。

チェイニーが副大統領でなくても誰かがテロとの戦争を推し進め、フセイン政権にこじつけたろうことは想像に難くない。湾岸戦争にケリをつけることは息子ブッシュをはじめとした取り巻きたちの野望でもあったろうし。

なにしろ真珠湾攻撃以上の大事なのだから。


しかし、ハウスオブカードといい、スマートな夫婦が政界を侵略する様って本当面白い。やったことはえげつないが理想的な夫婦だと思う。