安堵霊タラコフスキー

バイスの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
3.8
アダム・マッケイは前作が良かったし役者もその前作より好みだったので結構期待していたら、まあ期待通りの作品という出来ではあった。

まず映画を見る前からわかり切ってはいたことながら案の定俳優陣やメイクは非常に良い仕事をしていて、実際の本人の写真や映像と比べても遜色ない程に作りこまれていたしニュース的映像もまるで本物っぽく、そういう再現度だけで満足感を覚えるくらいだった。

前作同様にメタ的な演出の数々もキレが良く、終盤まで正体が謎の語り手や途中で唐突に流れる偽エピローグや偽EDクレジット、1シーンだけの大仰なシェイクスピア的台詞回し等皮肉的な表現はどれもしっかり笑えるものだった。

一方で内容は政治劇故に台詞が多くわかりにくい点もそこそこあり政治に疎い身としてはチンプンカンプンだったし、銀残しを施したような映像も70年代までなら違和感が無かったけれど80年代以降は同時代の映画と比べたら時代にそぐわないように感じられたからできればもう一工夫欲しかったところ。

とはいえ地味目な内容にしては俳優陣とメイクの手腕や監督のギャグセンスのおかげで退屈せず最後まで見ていられ、それだけでも十分評価に値する作品だったとは思う。