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バイスのギルドのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
3.6
今回もラフ目に。

政治のテーマとしては全然違うけど、雰囲気は華氏119に近い感じかな。ドキュメンタリー調で政治の駆け引きの重みはピンと来なかったし伝える内容自体に大きな捻りはないけど、終始飽きさせない工夫が凝らされていてそこが良かったかな。(例えば予告編を見た人ほど強く違和感を感じる偽の展開、脚色が加えられた語り手のコミカルさなど)  
裏で暗躍する一人の人間を映した映画で、ディック・チェイニーという人間のキャリアの凄さ・憲法の解釈の拡大解釈の脅威・世界の変遷を決める権限は細分化していけばほんの一押しで決まってしまう事実が過去/現在ともに起こる衝撃があって、面白いというよりは楽しい授業を聴いているような気分でした。マネーショートの人なのかテンポ感に作家性を感じて、そこも良かったです。

 政治を社会派エンターテイメント作品に仕上げた姿勢は良いなと思うけど、いかんせんアメリカの政治事情に疎いものでドラマティックさ・面白さはそこまで感じなかったかな…ただ、この映画で良いなと思ったのは政治的思想についてのディスカッションのシーン。ここで、蚊帳の外にいた女の子2人組が発する政治とは関係ない一言。ここに政治に対する民衆の本音が垣間見えると感じて、何故か面白かったです。

ある意味、日本ではほぼやれないテーマで個人的には新鮮な一作でした。

 てかクリスチャン・ベールとエイミー・アダムスの役作りが凄いね。クリスチャン・ベールはノーランのバットマンシリーズと比べて明らかに変わっているのは言うまでもないけど、エイミー・アダムスもそれに匹敵する変貌ぶりにビックリしました・・・メッセージやノクターナル・アニマルズの時の彼女と全然雰囲気が違う。50セントやクリス・プラットもそうだけど、映画のために徹底した役作りをするところはどの映画でもビックリするし、改めて映画って凄いなと思うけどバイスで更に感じました。
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