てるる

バイスのてるるのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
3.5
米国史上「最強」にして「最低」の副大統領と呼ばれた副大統領ディック・チェイニーの半生。

「マネーショート」の監督だけあって、単なる自伝的映画では終わらせない。
皮肉とブラックジョークをこれでもかとぶっ込んでくる。

それが分かるか分からないかで(もしくは容認できるか否か)評価が分かれると思う。
もちろん政治スタンス的にもだけど。

ブッシュ政権の時って連日のように日本でもニュースが流れてて、パウエルやらラムズフェルドやらライスやら、これだけ他国の政治家が印象に残ってる期間は無いかもしれない。
しかもキャスティングやメイクでかなり本物に寄せてきてる。

それによりドキュメンタリー感が強い部分と、フィクションであろう部分のギャップが変な感じ。
マイケル・ムーアの映画とドラマやコメディ映画を交互に観てるような。

この映画だけを観てディック・チェイニーという人物や行いを判断するのは危険だけど、権力を一点集中させることの怖さ、そしてやろうと思えば今でもそれを発動できる仕組みが残っている警鐘にはなっている。

でもこの映画を観て1番ヤバいのはディックの妻だよなー。
この妻にしてこの夫あり。
自身の野心もそうだけど、夫への焚き付け方といい、子供たちへの教育の仕方といい、怖かった。

ちなみにこの映画を観る前に「記者たち 衝撃と畏怖の真実」を観ておくとより理解が深まるかも。
「記者たち」では最後の砦と言われるくらい慎重派だったパウエルが、自身で汚点と言うくらいの国連演説をなぜしたのか(させられたのか)が分かったのは良かった。

とりあえず映画として面白いかと言われたらそんなに面白いとは言えない。

途中でエンドロール流れた時は周りが時計とかスマホで時間確認しだしたのは面白かったけどw
でも1番面白かったのはエンドロールのオマケかな。
「次のワ⚫⚫⚫⚫⚫⚫ドが楽しみね」てセリフはワロタ。
この映画観る前の予告でも流れてたから尚更。
てるる

てるる