Moyuru

バイスのMoyuruのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
4.0
クリスチャン・ベイルのディック・チェイニーもサムロックウェルのブッシュも似すぎ。
クリスチャン・ベイルはThe Fighterではガリッガリの薬中、American Hustleではハゲのデブを演じたりと、無茶な肉体改造しまくってて怖い。

もともとろくでなしだったディック・チェイニーは嫁にケツ叩かれてラムズフェルトのもとで働くことになる。
実際には能力がなくても権力を持った人間と近いポジションを得て気に入られれば、自分の地位を上げていくことが可能っていうのはよく見る。
序盤、彼が小さな自室を与えられたときはぼんくら感丸出しで自室を得たことを喜んでいたし、喜びのあまり自室の電話から家族に電話をかけていたが、経験を積むに連れそのぼんくら感は薄れ、いかにも”偉い政治家”的雰囲気をまとっていくその変貌ぶりがすごい。

そして、イラクの石油目当てにイラクへの戦争を狙い始める。
そこで911テロが起きてアルカイダとイラクを強引に結びつけ、何十万人もの死人を出したイラク侵攻を決定するわけだが、ディック・チェイニーが家族との食事や乗馬を楽しむ一方で、爆破されるハマーや爆撃に怯えるイラクの家族を交互に映すシーンは目に焼き付いて離れない。

作中、釣りのシーンが象徴的に何度か入るが、彼は政界において国民やブッシュを疑似餌で釣っていたわけだ。


共和党が石油系シンクタンクから資金を得ていることや、支持層に福音派が多いことを知っていると、彼がなぜ石油系の企業でCEOをしているのかイラクの石油を欲したのか、娘が同性愛者にも関わらず政治の場では同性愛者を否定しているのかがよく分かる。

51本目
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