クリスチャン・ベイルのファンなら本作は観ておかなければなるまい。特殊メイクレベルの外見の変化が衝撃。もちろん実際に増量している。映画の短い撮影期間内で20キロ超も太るなんて普通は出来るもんじゃない。しかも撮影後にまたすぐ体形戻してるし。ディック・チェイニーの若い時から年老いた姿までをも演じ分けているのも見事。史上最強の～とか、史上最悪の～とか言われた副大統領だが、本作を観れば彼も一人の人間だったんだなと思える。そう思わせる作品性と、そう思わせるクリスチャン・ベイルの演じ様が見事であった。社会的で政治色が非常に強い作品だが、ディック・チェイニーという男の人間ドラマとして面白く観ることが出来た。アメリカの田舎で しがない労働者としての一生を終えていたかもしれない男が、世界を操作する最強の副大統領になるのだから人生は本当に分からないものだ。エイミー・アダムス、スティーブ・カレル、サム・ロックウェルといった演技派揃いのやり取りも見応えあった。サム・ロックウェルのブッシュも似てたな～(笑)。クリスチャン・ベイルという最強のカメレオン俳優が演じる、ディック・チェイニーという最強の副大統領のお話です。
