たま

バイスのたまのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
4.0
まったく笑えないコメディー
笑えないどころか、寒気がしてくる。でも映画は実に面白く作られている。

今のアメリカにも憂えるけど、子ブッシュが大統領時代もこんなにハチャメチャで、副大統領のチェイニーがそこまで自由自在に権力を操っていたのかと愕然とする。疑似餌で権力を釣り上げるシーンのフラッシュ映像が効果的。
権力を行使するのに、理念など必要ない!というラムズフェルドやチェイニーの考え方がまかり通るのが凄い!法律や憲法を独自解釈し、民主主義とは如何にという感じ。これって独裁国家とおんなじじゃない!

クリスチャン・ベールの変身ぶりには関心があったけど、見ているうちにクリスチャン・ベールではなく私の中では完全にチェイニーになっていて、怒りと共に愛着すら湧いてきた。
妻の期待に応えたく、娘たちをこよなく愛するひとりの人間としてもしっかり演じきっている。

ラストに政治の話で激論を交わす人達の脇で、2人の若者がワイルドスピードの新作に期待してると語るシーンが、もう快楽的に生きるしかないという諦めの様に感じる。
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