ぎー

バイスのぎーのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
3.5
「私は謝らない。私はすべきことをしている。」
チェイニー副大統領を扱った映画。
滅茶苦茶興味深かった。
恥ずかしながらチェイニーについては、名前は聞いたことがあったけど、どんな人物で何をした人なのか全然知らなかった。
イラク戦争などの失策はもっぱらブッシュのせいだと思っている僕みたいな日本人はたくさんいると思う。
もちろんブッシュの責任もあるんだけど、チェイニーが凄い影響力を持っていたことを知ってビックリした。
何ならパウエルとかラムズフェルドとかの方が印象は強かったから、凄く勉強になった。
彼が大学を卒業してから副大統領まで上り詰めていく半生も面白い。
ホワイトハウスの裏側を見せられたような気分になった。
何より凄いのが、こんなアメリカの保守派政治家をこき下ろした映画を作って公開しちゃうところ、そしてアカデミー賞の候補にまでなってしまうところ。
残念ながら日本では絶対に出来ないことだと思う。
マイケル・ムーアの『華氏911』を鑑賞した後と同じ気持ちになった。
良くも悪くも滅茶苦茶社会派のドキュメンタリーみたいな映画だから、ものすごい盛り上がりとかはないけど、勉強になったし本当に面白かった。

1番印象に残っているシーンは、副大統領に就任後閣僚人事を行い政権を構築している場面。
どこまで本当か分からないけど、ブッシュ政権なのに事実上チェイニー政権と化していた。
まさに最強の副大統領といった感じだった。

それにしてもクリスチャン・ベールの演技というか似せっぷりは凄まじかった。
増量滅茶したらしいけど、本人にしか見えなかった。
他の登場人物も皆しっかり似てたから、アカデミー賞も取っていたけどメイクアップの技術凄いんだと思う。

ラムズフェルドは有名人だけど、チェイニーとニクソン政権以来の付き合いで、師弟関係だったとは。
ブッシュについては完全にコメディだった。
サム・ロックウェルもすごく良かった。
『スリー・ビルボード』のディクソンからのブッシュ。
表情の作り方とかヤバいね。
この映画で1番良く描かれていたのはパウエル。
人気がある政治家だけど、もっと好きになった。

凄く勉強になるけど、きちんとエンタメとしても機能している。
日本では間違いなく今後も作られることがないジャンルの映画だった。

◆備忘ストーリー
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/バイス_(映画)
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