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こはく2019年製作の映画)

上映日:2019年07月06日

製作国:

上映時間:104分

3.4

あらすじ

「こはく」に投稿された感想・評価

千月

千月の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

長崎を舞台に、兄弟が子供の頃に別れた父親を捜す物語。
大切に仕舞って、時々その温もりに触れたくなるような作品。

自分には何もないという兄。大切なものの重みに立ちすくむ弟。
兄弟は対照的で、激しくぶつかり合いもするが、二人ともが自身の欠落を見つめて、父親を捜しながら、自分のことも捜しているように見える。
監督の半自伝的映画だが、インタビューや舞台挨拶でのお話の通り、亮太(弟、監督を投影)を過度に美化せず、欠点や弱い部分もさらけ出したことで、父親捜しが、自分自身の弱さを見つめていくことに重なっていったのではないかと思う。

父親を恨んでいるという兄は、だんだん覚えていたことを忘れていくという。
覚えていないという弟は、色々なことを思い出していく。

いくつか挿入される、子供の頃のシーン。硬い表情の父親、バスを見送って直ぐに背を向けてしまう父親。けれど、父に会った瞬間、亮太の中でその光景が塗り替わる。優しい笑顔を向けてくれる父、ずっとバスを見送っている父。兄に比べて、きっと甘え下手であった自分が、確かに愛されていたということ。

弟は愛されていた自分を見つけ、兄は憎しみを捨てていったのだろうか。

親は自分より早くいなくなる可能性が高いこと。
親も完璧じゃないこと。間違ったり、悩んだり、傷ついたりする、子供と同じ人間だということ。
もう知っているはずなのに、心が追い付かないこともある。
それでも憎んだり、許したり、愛したりしながら、生きて、家族でいる。家族になる。

ラストの二人の表情は穏やかで晴れやかに見える。
最後に映る長崎の街で、二人は、これからも家族と生きていくんだな。そう思うと胸がいっぱいになった。


入り組んだ急な階段と坂道。銭湯での父子の会話。大人数のエキストラの方が参加されたという、にぎわう商店街。
愛情を込めて描かれている長崎の街が素敵。
亮太が、妻の作る好物の食事に大喜びしたり、実家に帰ると、もう若くないのに大量に出される食事に、嬉しいけれど、少しげんなりしたりする(ものすごく共感した)、食卓のシーンが印象的。
丁寧に掬い取られる日々が愛おしく感じられる。

大橋彰の、父を憎んでいると振り返る表情の暗さに、まず引き付けられる。弟にぶつける言葉の切実さ。再会シーンでの、期待と怯えでギリギリになった所からの、感情の爆発。兄・章一のとても複雑な、底の見えないような深さが伝わってきた。虚言癖からくる行動にはクスリと笑える部分もあるが、瞳にずっと暗いものを抱えているように見えていた彼の、ラストで見せる笑顔が印象的。
井浦新の亮太はたくさんの表情を見せる。大人だったり子供だったりするその揺れが、どれも本物で魅力的。ガラス工房の立て直しに奮闘する経営者の顔、妻と一緒にいる時の優しく、甘やかな顔、実家にいる時の子供に戻ったようなリラックスした顔、別れた子供のことで苦悩する顔。再会シーンでは、瞬時に子供の泣き顔になる。その表情に心揺さぶられた。

鶴見辰吾の包み込むような、けれど少し哀しい笑顔は、一瞬で心を刺してくる。
亮太の妻(友里恵)、母の二人には、総てを受け入れている強さを感じたが、特に友里恵は、ほぼ不満を漏らさないので、こちらが不安になってしまった。母の若い頃も遠藤久美子が演じているため、その時のセリフが、友里恵の心情まで表しているような気持ちになる。人は孤独。はじめは諦めの言葉に聞こえたが、最後まで観終わってから考えると、だからこそ大切にすべきことがある、という意味が込められていたように思う。

劇伴はシンプルかつ深みのある音。サントラを希望。
(敬称略)


舞台挨拶も拝見した。
とても和やかな雰囲気で、皆さんの関係性の深さを感じる舞台挨拶。撮影中も穏やかだったというお話を伺い、それがそのまま作品に表れているように思う。しかし、お話にもあったように、自分の人生を映画にするというのは、本当に強い覚悟があってのこと。愛すべき作品を産み出したその覚悟と、それに応えた皆様の心意気に深く感謝。
み

みの感想・評価

4.0
横尾監督の人生譚が元と言うことで、こんな風に映画を作って昇華する事ができるのは凄い事だなあと
自分の経験とは異なるけども、個人的な感情までひっついてきてしまってどんどん冷静には見れなくなり苦しくなって、ラストシーンで癒された。まさかアキラ100%さんに泣かされるとはね、まさかまさか。ワンカットでリハなしで撮影したというラストは、この映画見ておいて良かったと

長崎の街への愛がとても感じられて、こんな故郷があったら良いなあと羨ましくなる。商店街のシーンは何事かと驚くほど人数いたけど(笑)


トークイベント回でした
監督と井浦新さんと鶴田真由さん。ほぼ順撮りだったという現場の熱量とか、井浦さんが亮太のモデルである監督自身の感情をこじ開けようとしたエピソードとか、アキラさんが終盤おかしくなってく様子とか聞けて、ああ良い映画見たなと、より鑑賞後の深み増しました


好きな役者さんに握手してもらうの初めてだったんですけど、こういう時何話していいかほんとにわからん
BLACKMICKY

BLACKMICKYの感想・評価

3.0
クライマックス、迫力があって、引き込まれて、もらい泣きしてしまった。
大橋彰さん、ステキな演技でした!
tmy

tmyの感想・評価

-
家族と言えども人は人。
父に捨てられた息子もやがて父になる。
兄と自分の父への感情の違い。
自分の子供に対する思いと、忘れていたような自分の記憶。

たまたま監督のトークショーがある時間に鑑賞。
監督自身の人生をなぞりつつ作られた脚本らしいく、少し笑いもありつつ良い最後だと思います。
あだ

あだの感想・評価

3.5
正直、もう少しキャラの背景やストーリーを深堀してもらいたかったけど、アキラ100%さんの素晴らしい演技と安定の井浦さんが見れただけで満足です。
sennin

senninの感想・評価

3.9
舞台挨拶付で観ました。監督のお話が聴けて良かったです。
最後のシーンは一発取りだったとのことで、驚きであり納得です。
幸せの感じ方や形はそれぞれ違う。
孤独もそれと同じようなものなのかもしれません。

この映画でテーマとなってくる、家族、親子。

自分の親のことなんて対して知らないものです。
子から見たら、親としての顔が全てでしょう。

でもいつしか子が親の世代になると考えたりするものです。

「どんな想いだったのだろうか」
「どんな喜び、辛さだったのだろうか」
「どんな人だったのだろうか」
アキラ100%だとエンドロールまで気づかなかった、演技が自然に入ってきた。
冒頭の夫婦の喋りがやや違和感、しばらくしたら慣れたけどちょっと無理した訛りに感じてしまったなぁ。
hibiya1975

hibiya1975の感想・評価

3.8
長崎の風景、特に夕景が文字通りの琥珀色に輝いて綺麗です。その他のシーンでも意識的にセピアに近い色彩処理がされていますが、遠い日々への想いを伝えるためでしょうか?

ここ最近の3作品を観ても井浦新さんの演技の広がりが目まぐるしいですね。

内容について気になった事は兄弟の現状の設定がいまいち見えにくかったのが残念です。定職を持たない兄の虚言癖とか2人の子供がありながらの弟の離婚とかについて説明不足気味なのが気になりました。この二点は二人の「父探し」の大きな動機付けに関わる事柄としてスルーする訳には行かないと思うのですが。

このレビューはネタバレを含みます

 昨日新宿シネマートで,舞台挨拶の回を見ました。井浦新さん,アキラさん,監督など,登壇した方々それぞれの人柄が分かるような挨拶でした。
 映画は,新さん,アキラさんの兄弟が,幼いときに家を出ていった父を探す中で,記憶の中の父ではなく,本来の父に出会う物語です。
 ラストで二人が父に会う場面。監督が,ノーカットで,新さん,アキラさんの地のままの演技を引き出したということです。幼い時に家族を置いて出て行った父親への恨み,必ず迎えにいくという約束を果たせなかった父親の無念,父親への誤解とわだかまりが少しずつ氷解してきたことへの安堵。さまざまな感情が混ざり合った場面。新さん,アキラさん,そして父親役の鶴見辰吾さんが,迫真の演技で観るものの心を揺さぶります。
 観終わった後すぐに,もう一度観てみよう,と思うような映画でした。