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ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンスのQのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

構成、掘り下げについての点数。過去のコレクションに対しては星5です。

私は10代の頃に出会ったVivienne Westwoodの服に魅了され、趣味で80〜90年代のコレクションを蒐集しています。

Vivienne Westwoodと聞いて「セックス・ピストルズ」「ロッキンホースバレリーナ」「ラブジャケット」「アーマーリング」を思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、その話は一切出てきません。

ヴィヴィアンにとってパンクムーブメントはほんのきっかけにすぎず、「自分の才能は世の中に知れ渡るべきだ」と本格的にブランドを立ち上げ、労働者階級から大英帝国勲章・DBEの称号を得るまで登りつめるには紆余曲折が……みたいな構成かと思っていたのですが、ドキュメントと言うには構成が不親切で、時系列がバラバラでいつ頃のことか補足が全くありません。
パンクカルチャーやヴィヴィアンのことをよく知らない方にはかなり分かりづらい作品だと思います。

予告でもヴィヴィアンが質問の低レベルさに何度も頭を抱えていたり、今作の仕上がりを夫婦揃って酷評しているとおりにほぼまともに話を聞くことが出来なかったのかもしれません。
今作では触れられませんがヴィヴィアンはアフリカでの雇用支援の一環として、アフリカの職人たちが作ったバッグの販売などにも力を入れているので、そういった面も交えて活動家としての一面を紹介しても良かったのでは。
どのようにデザインを構築しているか、どんな視点を持っているか、インスピレーションについてなどもっと掘り下げてもらいたかったです。
自宅に山のように積まれた本や、美術館で絵画を見ているようなシーンがあるのですが、特に説明もなくスルー……。
最後のまとめ方も雑で「ヴィヴィアン最高!」みたいな駆け足でエンドロール。

彼女が高齢であることも関係しているのか、コレクションラインに "Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood" と夫の名前を冠したり、複数あったセカンドラインを統合するなど近年は縮小傾向にありましたが、ブランドクローズも考えているのかなと感じさせるような発言もちらほらありました。

ブランドの中心人物にもなっている、夫・アンドレアスとの関わりですが、モデルに随時試作品を着せながらアンドレアスと一緒に手直ししていくところがよかった。
ヴィヴィアン自身は最初の夫もマルコムも、自分をずっとワクワクさせてくれない男性には興味がなくて、そういう点でアンドレアスは長年いい影響を与えてくれる絶好のパートナーだったのかもしれません。
アンドレアスが「人間としてのヴィヴィアンが好きだ」と「なんかよくわかんないけど全部好き!」みたいなニュアンスで語る場面は若いカップルのようで微笑ましいです。

そのほか興味深かったこと
・ライセンス契約
「お金に興味がない」「好きな服しか売らない」と言う割に日本のライセンスはオーブマークだらけの劣悪なコピー品のようなデザインであまりに酷いと思っていたら、マルコム・マクラーレンとの息子がライセンス契約についてわずかに触れる場面があります。老後のためなら仕方ないけど、デザインは監修してないのかな…

・イギリスのテレビ番組
ヴィヴィアンのミューズのひとり、サラ・ストックブリッジが「80年代にミニクリニとロッキンホースバレリーナでロンドンの街を歩いて笑われた」というような文章をどこかで読んだ記憶があったのですが、似たようなエピソードの映像が中盤に出てきます。
イギリスで評価されていなかったころに、あるテレビ番組内で新作の服を身につけたモデルたちを紹介するも、80代の観客たちが斬新すぎる新作を見て大爆笑するというもの。
バカにした番組の構成にサラは激怒していたそうですが、「パンクの女王」とも呼ばれるヴィヴィアンは激昂することもなく終始冷静な態度をとる一面も。

・レズ友疑惑?
ヴィヴィアンに言い寄られた(?)ケイト・モスが「レズ友になってたかもしれないわ」と言いながらヴィヴィアンのモノマネをするのですが、結構似ています笑
ヴィヴィアンとケイトゎレズ友だょ!
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