トムヤムクン

ミレニアム・マンボのトムヤムクンのレビュー・感想・評価

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)
4.0
雪の降り積もる夕張キネマ街道の長回し、侯孝賢監督がこの場所をみつめた映画への愛の眼差しを思う。
2001年、新たなミレニアムの幕開けに浮き足立つ台北と旧炭鉱と映画の街夕張を舞台に、クズ男ハオ、義理堅い任侠ガオ兄貴、日台ハーフの竹内康の3人の男たちと、何か埋まらない空虚さのようなものを抱えているようにみえる女性ヴィッキーの織りなす群像劇。石ころ"とかいう謎の男との揉め事でガオ兄貴が行方をくらましたりと、視聴者にはっきりとは説明しないスタイルはやはり台湾ニューシネマ。
あらゆるものが輝きに満ちて見え、踊り騒いでいようとも、実際には何も先の見えない時代の感覚を漂わせている。シークエンスショットが徹底され、人物たちの経験する時の流れに、私の時の感覚もまた、引き合わされていった。
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