試写会にて鑑賞。
原作未読で予告も見ずに観たので、
始めは「タイトルからしてけっこう痛い話なんだろうなー」と思っていたが、
「けっこう」ではなかった。
本作が長編映画デビューで初脚本作品である関根監督の演出とストーリーテリングが非常に的確で、観終わった時には心臓をわしづかみされた気分になってしまった。
重い題材ながら必要以上に叙情的ではなく、
要所々々に入る音楽がうまい具合に感情の乗り物となり、自然と引き込まれていった。
そしてエンディング。
優しく包み込むようなメロディの音楽とともに流れるエンドロールを眺めながらいろいろと考えさせられた。
主演の趣里がすばらしい。
表情やしぐさ、声が、寧子そのものだった。
菅田将暉の抑えた演技も良い。
さらに主人公の二人とはまったく別の世界に住んでいるような
カフェのマスターとその奥さん役の田中哲二と西田尚美が、物語の世界観を広げている。
最近ではめずらしく?16mmフィルムで撮影された映像も美しかった。
監督が「人の心を映す物語だからこそフィルムで撮りたいと思った」と語っているが、
デジタルとフィルムとの違いは、まさにそういうことなのだと思った。
劇場公開されたら、もう一度観に行こうと思います。