あやこふ

生きてるだけで、愛。のあやこふのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
3.9
趣里の演技に圧倒された。
それを受ける菅田将暉の繊細な演技にも引き込まれる。
趣里の走る姿が綺麗だなと思ったらなるほどバレエをやっていたのね。

不器用な自分に泣きたくなるほどウンザリするというのは自分とも少し重ね合わせてしまった(もちろん寧子の場合は「不器用」なんて気軽な状態ではないのだけど)。
ラストのベランダでの寧子の言葉は、切なすぎてたまらなかった。

あと、カフェバーの人達がなかなかリアル。無責任な「大丈夫」を与えて、でも自分達の生活になかった感覚/考えには「そんなの変だ、おかしい」と残酷に切り捨てる。鈍感な人達の象徴。

冒頭の、雑然とした部屋でひとつだけビビットな、真っ赤なブランケット、暗闇で揺れる青いスカート、停電の部屋に差し込む赤いネオンライトなど、映像がとても印象的で好きでした。

順調に見えたカフェバーの仕事も結局寝過ごしてしまった寧子が、すっかり昼白色になった町を気怠く眺めるシーンが良かった。