生きづらさと、愛の泥濘と、そのなかで生まれる美しい一瞬は確かにあることの物語。
寧子と津奈木、自分はどちらの立場にもなったことがある。
寧子のように、どうしようもなく泣くしかなくて、自分でも何が何だか分からなくて。何を言っても恋人に響かないと感じ、波風を立てない返答に無性に苛立ってしまうこと。振り切った生き方についてきてほしいと思うこと。
津奈木のように、恋人が泣きながら必死に何かを伝えようとしているけれども、自分にとってその苦痛や要望に応える術も考える余裕もない。社会に馴染んだり普通に暮らすことに必死に生きてて、相手を慰めることしかできず、本当の意味で取り合えないこと。
一瞬だけでも、分かり合えたらそれでいいのだろうか。
愛は人の手に負えないものなのだろう。
愛の泥濘のなかで生まれる、美しいほんの一瞬は、心に感光して死ぬまで忘れられないものとなる。
簡単に言うと「メンヘラの見本市!みんな心療内科通って!とりあえず菅田将暉は逃げろ!!」です。