けお

生きてるだけで、愛。のけおのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
4.6
俺は、寧子の流す涙の色を知ってる
個人的ベスト級の映画(3回目視聴 追記)

他人との思考の違いの溝に絶望していた
今、この時だからこそ
観て良かった映画だった
俺の今後の人生に
多大な影響を与えると思う


人は他人のことを理解できているようで
全然分かっていない

そもそも
分かろうする思考すらしない人間が大勢いて、
その思考を放棄した人間もいる

俺は分かっているつもりでいるけれど、
結局分かっていない。

けれども、
分かろうとする努力を続けない人は嫌いだ
盲目的は罪だと考えている

鬱は甘えではない
鬱は孤独だからではない

ウォシュレットの話
共感できるかどうかではなく、
そのような思考をする人間がいることを、理解できない人が現実に大勢いると改めて知らされて
とても胸が苦しくなった

考え過ぎてしまう人が生き難い世の中
妄想のループで辛くなる、動けなくなる

鑑賞後、パリピ女2人が的外れな感想で笑い合ってて
心底衝撃を受けた
そして、やはり分からない人がいると
失望を感じて止まなかった

鈍感であることは悪いとは思わない
鈍感のまま過ごせたらどんなに楽かと
毎日思う

しかし、敏感になってしまった以上
思考しないと日常を過ごすことができない


「私は私が悩んでるのと同じくらい津奈木にも悩んで欲しいしそれをぶつけて欲しい」

こんなにも共感した言葉は久し振りだった


「私は私から逃げられない、いいなあ津奈木は逃げられて」
これもすごく共感できる

でも、津奈木は津奈木から逃げられないんだよ。
実は寧子も、津奈木のことを分かってあげようとはできてなかった

お互い自分のことで精一杯なんだよね


最後の全裸での踊り
あれが津奈木の目に綺麗なものと
写ってくれてればいいなあ


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2020.2.13 追記
彼女と2回目の視聴

登場人物の服や背景の光の色など、
明確に赤と青で使い分けていました

ツナキはずっと青で寧子はずっと赤

雑な考察ですが、
普通か異常か、社会に馴染めてるかどうか
なんてことを表してたんじゃないでしょうか

終盤、寧子は走りながら赤い服を脱ぎ捨て、中に着ていた青い服があらわになります

周囲からは異端の存在(赤)と見られているけど、周りが干渉しない個としてみた場合 寧子は1人の当然の存在として生きていること(青)を表現したのではないかと感じました

それすらも脱ぎ捨て全裸になったのは、正常異常、普通かどうかなんて物差しを取っ払った姿なのかな(自分もまだまとまってません)

青い服が揺れていたのが綺麗だった
とのツナキの発言は、言葉通り視覚的な些細な美しさもあるのでしょうが、

内面を曝け出して自分を主張する寧子(青)に惹かれた という比喩も含まれているかもしれないですね

ちなみに、安藤さんは終始赤です ウケる
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2021 4.23
自分の内的衝動を、たまらない息苦しさを、破壊として外に出せた時に走りだしたくなると冒頭で話していましたね。
以前に増してカフェの皆さんとの悪意のない溝が胸に刺さりすぎて何度も泣いてしまいました。
本当にいい表情をする二人ですよね。
大好きな映画です。
けお

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