このレビューはネタバレを含みます
数年前に原作を読んだはずなのだが、ほかの本谷有希子作品とごっちゃになって、戯曲の『幸せ最高ありがとうマジで!』の映画化だと思って観にいっていた。なので、誠に勝手ながら、あれ? そんな話だっけ? と勝手に翻弄されることに。
でも、だからこそ屋上のシーン脱ぎっぷりには驚きと同時に「あぁ! こっちの方ね!!」というスッキリも訪れるという謎展開に。やはり、全ての記憶が一瞬で呼び覚まされるほどSHOCKINGなんだなあのシーンは(笑)
本谷作品の魅力のひとつに「全く感情移入できない主人公が、それでも、感情を爆発させて最後には読み手をノックアウトする」ところが挙げられると個人的には思っている(自分が読んだのがたまたまそんなんばっかだっただけ?)のだが、映画版のラストは小説版とはまた違った〝あら、この感じでこられますか〟な余韻系。
個人的傑作『おとぎ話みたい』のデジャブかのようなラストシーンに、「エンディングで趣里に踊らせれば〝なんかいい作品みた感出る〟説」を唱えたくなった。
いや、というか趣里が主演ってだけで全部良作なんじゃないかってくらいどれもハマっているよね。本当に。
ただ、文句をつけるとしたら菅田将暉が勤める出版社の『ゴシップ雑誌編集部』の描かれ方について。
編集部の壁に貼られている中吊りが明らかに〝週刊文春風〟なのにも関わらず、編集長(?)は「俺たちは下半身ネタで飯を食っている生き物」発言で菅田くんを一喝。そんな〝実話誌ノリ〟丸出しのくせに雑誌名は『サタデーナイト』って写真週刊誌っぽいし、「テキトーにイメージだけで描いてんじゃねぇ(笑)」と思ってしまう。
作中ではネガティブな側面しか描かれていない役回りなわけだから、そこはちゃんと取材して描くのがせめてもの誠意なんちゃうんかい! そんなフィクション性高いと話の説得力も薄れるとちゃうんかい! とひとりぶーたれるのであった。
そんな怒りを感じながらだったので、趣里の裸を目に焼き付け忘れてしまった。『サタデーナイト』読者層な私はもちろん、もう一度観に行く。