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生きてるだけで、愛。のrollinのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
4.2
撮影が素晴らしすぎる。
自分の目を通して見るこの街はあまり好きにはなれないけれど、この映画が移し出す街は、登場人物の心象が拡張したかのように、儚く心細く潤んでいて、「あたしをちゃんと見て」と袖を引っ張って来る。

強烈。趣里やべぇ。
寧子は割れたガラス片のように、差し伸べられる手を傷つけながら、どうしようもなく澄んで見える人。菅田くんも仲里依紗も絶妙に特性を引き出されていた。

しばしその台詞を言わせるために、リアリティと乖離した不自然さが気になって興醒めすることがあるけど、この映画は何故かそれがなかった。趣里やべぇ‥のか?

自分の近くにも寧子みたいな女性はいたんだと思う。どんなに理解しようとしても、当事者にしか分からないこともあるだろうし、映画は所詮、“綺麗事で終わらせない”という綺麗事でしかない。

エドワード・ヤンみたいなカットがあって個人的には大好きな作品。観る人によっては相当抉られるかもしれない。メンヘラという言葉、属性が一般的に認知されたこと。めんどくさいという呟きが救うもの。何とかなるという慰めが殺すもの。誰もが主人公だからそりゃそうなるよ。国民総活躍時代だってさ。丁寧に、順番に、少しずつやろう。
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