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生きてるだけで、愛。のsaskiaのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
4.2
鬱による過眠症の寧子は寝てばかりで、家事もせず引きこもり状態。同棲中の津奈木もまた無気力に仕事をこなし、寧子にどんなに激しく感情をぶつけられても、何となく受け流していた。ある時津奈木の元恋人が現れ、寧子を部屋から追い出すために、彼女に仕事を紹介するのだったが…。
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鬱による過眠症って私は経験してないからわからないけれどきっと、寝たくないのに眠くないのに眠らずにいられない。
これしなきゃあれしなきゃっていう気持ちばかりが募って目が覚めたときはとんでもない焦燥感に駆られるんだろうなぁ。

まぁ過眠症じゃなくたって何にもできずに家にいるだけの鬱だって焦燥感は尋常じゃないんだけどね。

毎日が辛くて辛くて早く夜がきてほしいと毎日願う。
朝がくるとまた1日が始まるのか…と絶望する。
何にもできないからたった1日が1年に感じることもある。
時計を分刻みに見たりして、ソワソワして落ち着かない。
テレビや映画を観ても何にも頭に入ってこない。
何もやる気がしないし、頑張って少し行動に移せたとしても上手くいかなかったり…
またそんな簡単なこともできない自分に落ち込むループ。
「何にもしなくていいよ。
いてくれるだけで、生きててくれるだけでいいんだよ。」
そんな優しい言葉も鬱の時は心の奥に突き刺さって余計に辛い。

寧子が頑張ってご飯を作ろうとするんだけど、
こんな時に限ってなぜか材料が売り切れ、鬱の時は臨機応変に対応できないからとっさに違う献立も思い浮かばない。
しょうがないから諦めて家に帰って何かやろうとしてもことごとく上手くいかなくて涙が溢れる。

寧子のお姉ちゃんひどくない?
寝てばかりだと彼氏に出ていかれるとか、仕事しろ、とか。
仕事できるならとっくにしてるよ。
できないから悩んでるのに。
電話してきてなんでわざわざ追い詰めること言うの…?
あとバイト先の人たちね、いい人装った何にも知らない人たちの象徴って感じのクズだった。
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まぁでもこれが何にも知らない人の普通の反応なのかも…。
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寧子を演じた趣里は、心と身体がバラバラになったような感覚、やり場のない気持ち、不安定な心をうまく表現していて、素晴らしい。

彼氏の津奈木を演じた菅田将暉は、不安定な寧子に翻弄されながら、仕事も上手くいかなくてずっとくすぶっている、無気力さを表現するのが上手い。
一見寧子と津奈木は合わないようでいて本当は誰よりも相性がいい気がする。

寧子が鬱でイライラして津奈木に当たって暴言を吐くんだけど、彼は真剣に受け止めず軽く流す。
まぁこれは疲れてて構ってられないということもあるけど、いちいち本気で相手していたらふたりで鬱になってしまうのでこれくらいがちょうどいい。

不器用なふたりが不器用ながらも一生懸命生きている姿が切ない。

寧子のセリフの
「津奈木はいいなぁ、私と別れられて。私は一生私と別れられない、津奈木が羨ましい」
「生きてるだけで、どうしてこんなに疲れるんだろう」
私も同じこと言ってたなぁ😭😭
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ラスト、走ってたら躁になって○○になってるってすごいwww
まぁ躁の症状は人それぞれなので否定はできないけどかなりぶっとんでる🤣

これは双極性障害を扱ったお話だけど、自分の感情を上手くコントロールできない、メンタルが不安定な人はきっと共感できるところがたくさんあると思う。
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2020/№34◡̈*✧🌛
おうち映画№30

劇場映画№4
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