YUKi

生きてるだけで、愛。のYUKiのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
4.8
ほんとびっくりするくらい
秀逸作だった。絶句。

劇場で観逃した後悔あとを絶たず、
でも観られてよかった案件ですよ。

ある程度のストーリーは
あらすじレベルで認知していましたが、
主人公の寧子が〝鬱の女〟でもなく
〝過眠症の引きこもり女〟でもなく
寧子でしかないんです。
ナチュラル・ボーン寧子なんです。

この主人公演じ切った趣里ちゃん
凄いわ‥。
人生を棄てた中年女にも見えようもんなら
15歳くらいの純粋な少女にも見える。

鬱が鬱の気持ちなんかわからないように
なかなか定まらない寧子の感情を、
演技力に引っ張られひたすら見守る。
そんな感じ。

だって主人公より周りの人間の方が
明らかぶっ壊れてますもん。

社会的ボーダーラインが
働いているか働いていないか、
それだけで勝手にご立派な人徳押し付けられるんです。

笑えるほど気持ち悪い世界。
なかなかにして現実的でもありました。

最近目に余る〝ファッション生きにくさ〟
な要素ひとつもなかったわ。
生きにくさの押し売り一切なし。

結局寧子は社会的順応性はなくても
自分にとっていちばん大切な存在と居場所を
本能で見抜いて走り出すシーン‥
からのくだり、最高のカタルシス!

〝あの〟寧子を生み出したのが
趣里ちゃんじゃなかったら、たぶん
あざといわ!で終わるシーン山積みでした。
完全に惚れた。

最近凄まじく邦画離れしてしまってましたが、
もしこういう作品が
世界レベルで評価されたら
この先の邦画界の希望になり得るのになあ。

「あたしと別れられて、いいなあ。」
YUKi

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