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きばいやんせ!私のtoshiのレビュー・感想・評価

きばいやんせ!私(2019年製作の映画)
4.0
「きばいやんせ」とは「頑張れ」「頑張って」の鹿児島の方言です。

鹿児島出身なので何時か鑑賞してみたいと思っていた今作。鑑賞している人が少なかったりあまり評価も高くありませんが、同郷という事、自粛要請の続く中での鑑賞したのもあってか個人的にはとても素晴らしい作品だと思いました。

小学2年の頃1年だけお父さんと鹿児島の南大隅町に住んでいた女子アナの児島貴子。でも週刊誌に不倫騒動を掲載され左遷。今は地方を周りその地の行事や珍しいものを紹介するといったマイナーな番組に出演。そんな折、幼い頃に見た南大隅町の御崎祭りの取材を提案。ディレクターにあっさりOKされるものの祭りまでの取材は一人で行けと言われてしまいます。不倫騒動後の左遷でなげやりな毎日を繰り返す貴子はいやいや一人で取材をする事に・・・。
何もかもが嫌で自分が嫌になっていく貴子。でも町について御崎祭りの実行委員の皆さんと祭りの打ち合わせをしていく毎に彼女の中で変化が起こり始めます。

御崎祭りは歴史ある伝統的なお祭りなのですが、最近は町も徐々に過疎化し若者はおらず、御輿を上げる事が困難になっている様で、
でも実行委員の人達はある方法で祭り行事を止めず続けています。何故そんな方法で続けているのか?といういい加減な方法。御輿を担げる若者たちは居ないので仕方ありません。が、貴子は納得しません。仕方ないという委員長にはむかう。でも何故御崎祭りを続けているのか貴子は気付き始める。そして自分自身が今置かれている立場をしっかりと向き合っていきます。
委員会のみんなや貴子の気持ちが一つになるその時歴史ある本当の御崎祭りが復活します!!

児島貴子を演じるのは夏帆さんですが、彼女はさばさばした女性を演じるのが上手いです。前クールのドラマ「ひとりキャンプで食って寝る」でも
その名の通りひとりキャンプなので、キャンプ場に出向いている見ず知らずのキャンパーが話しかけても完全シカトです。誰かに寄り添っていない孤独な感じが似合う夏帆さん。今作貴子もハマリ役でした。
また貴子の同級生だった脇太郎演じた大賀さん、岡本天音さんの好演も良かったです。

御崎祭りの詳細はネタバレになるのでここには書けませんが、今作観ていると本当の御崎祭りが何故実施できなかったのかに納得です。これじゃぁ人が居ないとできるワケがない!! そんな中で貴子や脇太郎ら若者が立ち上がり本当の御崎祭りを実行! あるシーンでは今こんな世の中だからこそ皆で支え合い御輿を担ごうと何か元気をもらえこみ上げてくるものが・・・。

本当の御崎祭りを復活させるだけの内容でも十分だったかもしれません。
でも都会で夢だった女子アナになった!が、不倫ですっぱ抜かれた貴子や親の後を継ぎ地元に残った脇太郎ら若者の苦悩がプラスで描かれている内容も個人的には良かったと思いました。

【余談】
鹿児島の方言はクセがあるので俳優さん達は苦労しているなと率直に思いました。鹿児島弁は言葉よりイントネーションが難しいと思います。俳優さん達はプロなので方言であってもセリフは覚えられるでしょう。でもイントネーションを真似るのってホント難しいと思います。
例えば「橋」と「箸」。このイントネーションが鹿児島弁だと逆になります。
大賀さん、岡本さんも時おりイントネーションが違っていたので苦労されただろうと思いましたが、そんな中でも完璧な鹿児島弁だったのが町長役を演じた榎本孝明さんでした。って榎本さんは鹿児島ご出身なので当たり前ですねw
一番酷かったのは伊吹五郎さん。全然ダメでしたw 言葉は完璧なんですけど、「鹿児島弁はそんなにカッコよくしゃべりません」と思いました。
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