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王の預言書のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

王の預言書(2018年製作の映画)
3.9
キム・ジュヒョク(1972-2017)出演映画<第20作>

原題は「フンブ」主人公の名前です。
1848年 王である憲宗(ホンジョン)即位14年が映画のスタート。
ホンジョンは1849年7月に23歳で死亡しています。
日本は嘉永年間で将軍は徳川家慶。黒船の5年前ですね。
つまり世界が大きく変化していた頃です。


邦題にある預言書とは、鄭鑑録(チョンガムノク)という実存する発禁書。朝鮮王朝が滅び、『真人が新たな王となり』王朝が800年続くと書いた本。


この本を、勢力争いに利用しようとする・・
"勢道政治”って言葉が冒頭に出てきます。
要は、王と外戚関係を維持して権力を持って政治を行うこと。
ちょうど憲宗(ホンジョン)にも一族から妃を送ったのが安東金氏。金(キム)という苗字は多いですが、当時で言うと安東金氏とは高麗建国の重臣の一人である金さんを祖とする一族のこと。
で、1848年あたりは、安東金氏と豊穣趙氏が権力を争っていました。
だ・か・ら、刑曺判書チョ・ハンニ(チョ・ヒョクの兄:チョン・ジニョンさんが演じています)が鄭鑑録(チョンガムノク)に、「自分の一族が新たな王となる」と書き加えよと言うわけですね。つまり『真人』は我々だと。

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主人公である伝説の作家フンブはチョンウが演じます。
この方は「レッドファミリー」(2012)で奧さんとなるキム・ユミさんと出会ってからなのでしょうか、出演する作品も良くなり演技も面白くなってきたように思います。今作の次に公開となった「偽りの隣人 ある情報院の告白」とも通じる部分がある訳ですが、なにかしらの強い思いを持ちつつ、新しい何かを受け入れ、より強い意志を持つ・・といった惑いや信念を”顔”で表現するのが得意な方。
どうも舞台出身の役者特有の感じはない。
日本でもいますね、TV演技の人。
だから顔アップが多いですww


フンブに精神的な影響を与える人物チョ・ヒョクを演じたのは、2017年・・この映画の上映前に交通事故でお亡くなりになったキム・ジュヒョクさん。
こちらは「毒戦」でもそうであったように、全身からなにがしかが染み出る方。アップも良いけどフルショットがカッコいい!!
いわゆるメソッド演技の申し子でしょうね。

チョ・ヒョクの兄なのに性格は真逆な権力の亡者チョ・ハンニはチョン・ジニョンさん。
この人は自身監督としても活動するベテランです。
「7番房の奇跡」で刑務所長としてイェスンを引き取った役を演じた方。
「スウィンダラーズ」では主人公チソンの父の役。
「茲山魚譜」だと正祖(チョンジョ)役。
今作はかなりの激情を表現していて、なかなか見応えありますよ!

・・言いたいのは、チョンウさんとのバランスが凄くいい!!
ある種の「シンゴジラ」N氏現象かTV「JIN」O氏現象か。


あとね、フンブのお弟子さんとしてチョン・ウヒさん出てるんですけどね、そこまで出番ないけど良いですね、彼女。30歳くらいかな?でもいわゆるヒロインばかりじゃなく、様々な役を演じて、素晴らしいキャリアを積んでいると思います。


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