こんなに背景となる情報を明かさない映画は初めてです。その謎に心を掴まれて目が離せなかった。
そして終始ヒリヒリとしたぎこちない緊張感が痛い。
衝撃的な映画でした。
透き通った青い空
果てしなく続く地平線
緑深い無人島
どれも息を呑むほど美しいのに、何故か侘しい。そんなロシアの風景と、3人(父と息子)の心がシンクロしてるようだった。
今まで何処で何をしていたのだろう。。
写真でしか見たことのない父の、突然の帰宅。
初めて見る父の寝姿は、十字架からおろされたキリストを描いたマンテーニャの「死せるキリスト」にそっくり。父との最初の食事はダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を思わせた...
12年ぶりに帰ってきた父との旅。
有無を言わさぬ父の威圧的な態度に、
いちいち反発する弟
素直な兄
不穏な緊張感が痛すぎる。
そんな接し方ではうまく行かないよ..
結末は衝撃的だった
父親として飴と鞭、飴も与えていたら、こんなことにはならなかったのでは..と思えてならない不器用さが悲しい。
そして旅で成長した兄弟を見ると胸が詰まります。
心に深い傷を抱えて生きていかねばならないのなら、、父の力を借りず自力で成長するほうがよかったのでは..とも思いました。
しかし解釈は観る者に委ねられ、正解はわかりません。
エンディングに繋がる写真が二の矢三の矢を放ちます。
様々なシーンがラストにシンクロする巧みな演出が秀悦でした。