MasaichiYaguchi

曙光のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

曙光(2017年製作の映画)
2.4
JR東日本は、3月を「自殺対策強化月間」として、自殺に追い込まれようとしている人が生きることを選択できるようにと「生きる支援」キャンペーンを行っているが、この作品は個人レベルでその支援を行った家族を取り上げて実話ベースで描いていく。
昨年の日本の自殺者は2万1140人で8年連続で減少はしているものの、10代の自殺者は逆に増加している。
JR東日本は、列車との接触や線路への転落を防ぐ為にホームドアの設置を進めて人身事故の抑止に努めているが、一時期程ではないとしても相変わらず、月に数回はその事故に伴う列車の遅延に遭遇している。
この作品で登場する支援ホームは、スマホやガラケー、公衆電話からのお助けコールに応じる形で救助し、その者が「自立」出来るまで支援するという一種の「駆け込み寺」な役割を果たしている。
しかし、善意と救いたいという強い思いで運営されている活動は、理想や高い志とは裏腹に、苛めや虐待、不倫や借金苦、様々な要因で追い詰められた自殺願望者を巡る手痛い現実に踏み躙られることもある。
本作は、それをドキュメンタリータッチの群像劇で浮き彫りにしようとする。
ただ、主演の黒沢あすかさんを除き、彼らを演じるのが、オーディションで選ばれたとはいえ大半が素人であり、プロの俳優たちとは明らかにレベルが違うのと、テーマに対する思いが強過ぎてあれもこれも詰め込んで内容が散漫になり、後味ばかり悪い作品になってしまったと思う。