TBear

愛しのアイリーンのTBearのレビュー・感想・評価

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)
3.9
2018年41本目。
完成披露試写会にて鑑賞。

42歳のパチンコ店スタッフ宍戸岩男(安田顕)。岩男はこれまで恋愛とは無縁だった。ある日、フィリピンに渡りアイリーン(ナッツ・シトイ)と国際結婚して帰国。言葉が通じない岩男とアイリーンの間に息子を溺愛する母親ツル(木野花)が入って来たり、様々な想いが交錯して波乱が巻き起こる。

原作未読でしたが、とにかく監督と俳優の熱量がヒシヒシと伝わって来ました。10年以上前から実写化しようとしていた監督が念願叶ってようやく映像化にこぎ着けた本作。やっと時代が追いついたとおっしゃっていましたが、まさにその通り10年前には世の中に許容されない内容だったと思います。エロス、バイオレンスが目立つ作品ですが、クスッと出来るシーンもいくつかありました。

これまで愛を知らなかった岩男の不器用すぎる愛情は、狂気とも呼べるほどでした。そして、息子を異常なまでに溺愛するツルもまた狂気。そんな狂気に溢れた世界の中に置かれるアイリーン。言葉も分からないアイリーンはそんな狂気に溢れた世界と対極的で、とても純粋。やがて岩男とアイリーンの間には愛が芽生えるように。

キャストや監督が言っていたように、観た後に自分は何を見せられたんだろう…とか鈍器で殴られたような衝撃が残ると言うのが鑑賞直後に抱いた感想なんだと思います。暴力的な岩男には感情移入出来なかったけど、ひたむきに人を愛そうとする想いは伝わって来ました。原作漫画を読んでから鑑賞すると、また違った感想を持てそうな気がします。安田顕が自身の代表作だと思ったと言う今作。安田顕さんもそうですが、ナッツ・シトイさん、木野花さん、その他の俳優さんの演技からも凄い熱が伝わって来ました。
TBear

TBear