おみの

愛しのアイリーンのおみののレビュー・感想・評価

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)
4.5
これはおそらく考えれば考えるほどじわるやつ。見てる間はほんまいろいろ追いつかんけど!
言語が違う、言葉が通じない、自分の発した言葉が自分の意図する通りの内容をもって相手に伝わらない。ということが続くと、発話は自分と相手が観念的に一致することを期待しなくなっていく。対外用の、了解される用の意図が抜け落ちて、次第にそれ自体形をなくしていく。刺激と反応が繰り返されるばかり。咄嗟に出る行動は、自分がその存在と同時に備えていたらしいものと自分が現在までに経験してきたもののかけあわせから出る独自のもので、他者から理解されるとは限らない、理解されることをめざさない。押しつけ押しこめあうのではなく、吐き出し投げつけあう。浸みこみあう。
誰よりも大量に言葉を駆使する塩崎、その人間としての存在が、言葉の「枠」によって世界から疎外され尽くし足場を失っていく一方で。言葉に頼れなくなって「枠」から抜け出した真っ白な世界で、岩男たちがただの人間になっていく。