クルードス

愛しのアイリーンのクルードスのレビュー・感想・評価

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)
3.8
主要な登場人物は、倫理的には正しくないんだけど、でも全員に様々な背景があって理解出来なくもない。
でもやっぱりおかしいよな?と観ていて考えが行ったり来たり。
正しいから、正しくないからで人生を選択しない、あるいは出来ない人達の物語だと思った。

街角での美しいキスシーン。
ここで映画が終わってもいいんじゃないかとも思える名シーンだったが、まだまだ中盤でここから登場人物達は落ちていく一方だった。

中盤以降、ある出来事から岩男が精神的に追い込まれて、行動がどんどん暴力的で衝動的になっていくのは本当に酷いと思ったが、その事によって少し発展した関係もあったので、最初からもう少し上手に自分を出せていればなあ…と思ったが、それが出来なかったからこそ、この人生だったというのが何とも…。

終盤は岩男とアイリーンのラブストーリーから遥か離れて、そういう展開か!と意外だったが、母親ツルの回想シーンはヒメアノールの「お母さん、麦茶」を思わせる「この人にもこんな過去があったんだ」と思わせるいいシーンだった。

個人的にやけに印象的だったのは、お見合い相手だった人が謝罪にくる場面。

お見合い相手が岩男に命じられてある行為をしている時にアイリーンにどつかれ、アイリーンはそのまま岩男とケンカをする。
そのケンカをしている時に、そさくさとストッキングを上げて身なりを整えているのを後ろでずっと捉えているのが、印象的だった。
笑えたけど、間抜けというか妙にリアルというか、女性の事を考えるとあまりに気の毒で、何とも言えない気持ちになった。