ノラネコの呑んで観るシネマ

パンク侍、斬られて候のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

パンク侍、斬られて候(2018年製作の映画)
4.2
マックス狂ったメタファンタジー。
腐敗した世界が、異物の出現によって一気呵成に崩壊してゆく。
原作未読だが、要は石井監督の「狂い咲きサンダーロード」や「爆裂都市」の時代劇版。
現代語使いまくりのクドカンの脚本は、喋りっぱなしの会話劇でかなり可笑しい。
自己保身に走った侍たちが、インチキな信仰宗教と結託してインチキな騒動をでっち上げる、全てがインチキな世界。
インチキはインチキらしく、跡形もなく滅びてゆくのだが、登場人物たちも、半分自分たち自身がインチキ=虚構の存在だと認識しているのが面白い。
インチキだらけの映画の世界が、現実世界のメタファーとなる構造。
同時に今我々が暮らしている世界も本当に現実なの?というシニカルな問いになっている。
壮大な楽屋オチなんだけど、コレをアホらしいととるか、文学的ととるか、相当に受け取り方は別れそう。
とりあえず、ぶっ壊すために作り込まれたビジュアルは見事。
浅野忠信の顔には参った。
サナダ虫らしく、アレはトイレという理解でよろしいのだろうかw