Inagaquilala

パンク侍、斬られて候のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

パンク侍、斬られて候(2018年製作の映画)
3.6
脚本が宮藤官九郎とは知らず観ていたのだが、やはり前半は圧倒的に登場人物どうしのセリフのやり取りが面白い。町田康の原作にそのような言葉が出てくるのかとも思ったが、それにしても役者の口をついてでてくるセリフがビビッドで、それだけでも楽しめてしまう。後半に進むにしたがって、時代劇の常なのかもしれないが、「チャンバラ」シーンが多くなり、セリフを楽しむ機会は少なくなる。前半の面白さから比べたら、やや物足りない感じがしてしまう。

猿メイク(かなりフィットしている)の永瀬正敏をはじめとして、浅野忠信(まったく気付かず)、染谷将太、東出昌大、北川景子など豪華キャストが登場するが、やはり前半の主人公・掛十之進を演ずる綾野剛がテンポ良く繰り出すセリフが印象に残る。元来、町田康の原作を、よく映画化したなとは思ってはいたが、監督の石井岳龍監督、あっぱれではあった。前作の「蜜のあわれ」で少し失望していたが、やはり彼にはこのようなパンクでアナーキーな物語が合うのかもしれない。
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