ヨッシー

トラさん~僕が猫になったワケ~のヨッシーのネタバレレビュー・内容・結末

1.2

このレビューはネタバレを含みます

『僕がもうジャニーズを信用しないワケ』

『月間YOU』で連載されていた人気(?)漫画を実写映画化。

売れない漫画家の高畑寿々男はある日交通事故で死んでしまい、死後の世界で生前の行いを挽回させるため、猫の姿で元の世界に戻されてしまう。

監督は『Sweet Rain 死神の精度』などの筧昌也。
主演は『Kis-My-Ft2』の北山宏光。

ジャニーズ主演作品にしては公開規模も小さく完全にノーマークだったが、「ヨッシーさん向けの作品ですよ(笑)」と言われたので鑑賞。正直ジャニーズ映画という時点で嫌な予感はしてたけど。

原作は1巻だけ読みました。はっきりいって絵はかなり下手なんだけど、ストーリーは悪くない作品。
それなりに実写化する意味もある作品だとは思う。

驚いたのはこの作品の公開前の評判の良さ。yahoo映画レビューは驚きに5点満点、ここFilmarksでも4点以上というハイスコアで5点満点の絶賛評も非常に多い。
個人的には予告の時点で期待できる要素ゼロだったんだけど、もしかしてこれは思わぬ大傑作なのかもとわずかな期待を抱いて見に行った。
しかし、残念ながら少なくとも僕にはこの作品の何がそんなに評価されたのか全く分からないような酷いに見えた。

まず酷いのは主人公の北山宏光演じる寿々男のキャラクター。
売れないけど自分は才能があると思い込んでる漫画家で性格はどうしようもないクズ野郎。娘の授業参観でやらかすわ、奥さんが働いて稼いだヘソクリを博打に使うわ、どうしようもない。

しかし、そのクズっぷりの演出が超下手くそで、そのほとんどが娘のクラスメイトの子供やバカリズムが演じる死後の世界の裁判官の説明台詞で処理していく。

家族からの寿々男に対する態度もこのクズ人間に対しての態度としては不自然なもので、奥さんは寿々男を全く責めないし、娘は嫌ってるように見せてるけど、なんだかんだで仲良しっぽいし、寿々男自身も結局は家族思いのいいやつみたいな感じになっている。
最近見た映画だと『ういらぶ。』とかもそうだったけど、本来なら嫌われてもしょうがないようなクズをそう見えないような中途半端な予防線を張っている演出が僕は心底嫌い。コイツはもっと視聴者からヘイトを買うようなキャラであるべき。

この物語はそんな超クズ野郎の寿々男が(何故か)猫の姿で転生させられて、過去の罪を償う贖罪の物語な訳だけど、それがちゃんとできていれば、主人公がクズ野郎でも別にいいんだけど、本作ではその物語の根本的な部分が全くできていない。

そもそも猫になる意味って何?
これは原作の時点でちょっと疑問だった。確かに別の視点から見ることで以前は見えなかった家族の裏の姿を知り、そこから自分の過去の行いを見つめ直すという意味は持たせられる。原作ではそこはちゃんとできてるんだけど、今回の実写版ではそれが全くできてない。なにせコイツは期限の1ヶ月の最終日までそれをせずに呑気に猫生活を満喫してるだけなんだもん。バカじゃねぇの?
それで期限終了直前になって今更家族にために何か残したいとか言い出す始末。夏休み最終日になって慌てて宿題し出す小学生か!

しかも、最後にやることが人間に戻してもらって漫画を描くことってオイ!じゃあやっぱり猫にした意味ねぇじゃん!
原作では猫に姿に無力感を感じつつもそれでもできることをやっていたのに猫の時には何もせず人間に戻すてもらってから行動開始じゃあマジで何の意味もないよ。

それにここで書いた漫画で寿々男が家族に対して遺言を残すようなこともできたのにそれすらしない。中盤で娘が自分で書いた漫画で自分の心情を見せるところがあったから最後にそれをやるのかと思ったらやらないとか何考えてんだ?

こんな感じでストーリーはとにかくガタガタ。
これだけでも十分に酷いけど、それ以外の部分もボロボロ。

『トラさん』を実写化する上での1番のハードルって何かって言ったら猫になった寿々男をどうするか?なんだけど、これをまさかの北山宏光に猫コスプレをさせるという1番頭が悪そうな方法をとってる。学芸会じゃないんだからもうちょっと頭使ってくれないかな。
そりゃあリアルの猫に演技させるのは無理だけど、そこをどうするかが腕の見せ所じゃないの?

しかも、我々観客には北山宏光が猫コスプレしてる姿に見ててるけど、作中では本物の猫の姿になっているという事になってる。そこをまず観客がそういうものとして受け入れなきゃダメな時点でどうかと思うけど、作中の演出でこの猫コスプレ姿と本物の猫を同一のものとして見せる努力が全く感じられない。

例えば、まさに寿々男が猫になった直後に車の窓で自分が猫の姿になっていることを確認するんだけど、猫コスプレ姿の北山宏光なら普通に見れるが、普通の猫の大きさなら窓に届かないでしょ。どうやって窓まで登ったんだよ?そこをちゃんと普通の猫の視点だったらこうやってるという見せ方を一切しない。
他にも人間の大きさなら納得できるけど、猫の大きさだとこれどうやってるの?と疑問に思うところがいくつもある。ここで二つの視点のすり合わせを全くしてないなんてただの手抜きでしょ。

ただでさえこの猫コスプレ姿が学芸会レベルの酷いものなのに、その欠点をなんとか補おうとする工夫も感じない。
例えば、リアル猫姿とコスプレ猫姿の視点の切り替えを使ったギャグの見せ方だってある。
普通の猫がやっていれば可愛い仕草も人間の姿だと...とか。そういうコメディ要素があると期待してたけどそれもなし。
やる気あんのか?

飯豊まりえが演じてるホワイテストという猫(ちなみに一度も猫の姿は見せてくれない)が作中で「猫の目線でだから見えるものがある」とか言ってたけど、その猫の視点を見せてくれないんだよこの作品は💢

役者陣の演技も酷いもので北山宏光の演技なんか完全に一本調子でなんの変化もない。そのせいで寿々男の心境も全く表現できない。
バカリズムも表情が一切変わらないし、子役も下手。
奥さん役の多部未華子は頑張ってたけど、それでも微妙。

こんな感じでダメなところだらけのどうしようもない作品だけど、これってジャニーズ主演じゃなければまだ良くできた気がするところがかなり多い。
特に寿々男のクズっぷりを中和するような扱いは北山宏光を悪く見せない為な気がするし、猫コスプレをしてるのも北山宏光を出すためのものなのではと思ってしまう。そういえば『ういらぶ。』もジャニーズ主演だったし、似たようなことしてたわ。

別に役者に合わせてキャラクターやストーリーをチューニングするのは当たり前なんだけど、それが作品にとってマイナスになったら本末転倒でしょ。結果役者も作品も悪く見える。だからジャニーズ映画は信用できないんだよ💢

これだけ評価が高いのはそれだけ北山宏光が人気だからなんだろうけど、1本の映画としては全く評価できない作品だった。別にこの映画を高評価している人を悪く言うつもりはない。感想は人それぞれだから。でも僕は好きなアイドルのこんな無様な姿を見せられて楽しいのかが疑問だけどね。
今年のワースト候補です。