Inagaquilala

スティルライフオブメモリーズのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.1
主要登場人物の1人が写真家のため、当然、作品は映像オリエンテッドに流れていくのだが、それにしても脚本が少々貧弱だ。写真家に自分の性器をとってくれと異様な依頼をする主人公の女性。彼女のバックストーリーがあまり語られないために、せっかくの興味深い設定も、上っ面だけのものになってしまつている。彼女の内面や歴史に切り込むことで、もう少し魂に響く作品になった可能性もあったのだが、ややイメージフイルム的な作品に終わってしまっているのだと思う。

矢崎仁司監督の作品は「スイート・リトル・ライズ」と「無伴奏」をこれまで観ているが、いずれもドラマにやや物足りないものを感じていた。映像に対してシャープな感性を有している監督だからこそ、ストーリーをきっちりと表現してい作業をしていけば、素晴らしい作品が出来上がるのではと期待するのだが、とにかくこの作品は徹底的に脚本が弱い。不思議なエロティシズムが漂う作品だけに、そこをもう少しきちんとつくっていけば、とんでもない傑作にもなりそうな予感がする。
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