古き良き大正ロマンの心地よさと、てんやわんやの面白さ。
今はもう、そうそう体験できない活動弁士の活躍を、映画の吹替えとはまた違った、声当てで楽しめる感覚の面白さ。
単に声を当てるのではなく、弁士それぞれの個性や持ち味、声当て自体への葛藤や想いなど、わりとシリアスなテーマ性を持ちながらも、作品全体は、痛快娯楽的に楽しめる心地良さ。
衣装や舞台のセットから、この作品のお気楽な雰囲気の良さが楽しめるほか、登場人物全員、どこか憎めない人の好さがあるというのもまた、独特の持ち味。
作中では、わりと結構酷いことしたりされたりしてるけども、世界観全体が悲喜劇的で、それこそ往年のサイレント映画を見てるような心持ちで楽しめる。
また、単純に弁士の活躍を楽しむだけでなく、裏方や界隈に関わる人々を満遍なく取り込み、様々な視点から本作の主題を楽しめるのもまた魅力のひとつではないだろうか。