しゅう

カツベン!のしゅうのレビュー・感想・評価

カツベン!(2019年製作の映画)
3.3
周防監督が活動弁士を題材にした映画を撮るということで、かなり期待していたこの映画。

映画内で描かれる大正のサイレント期における映画と映画興行の在り方、その中で興行を左右するほどの人気を集めた映画のナレーター及び解説者である「活動弁士」の仕事ぶりはどれも面白く、特に実際に主人公である成田凌演じる弁士が劇場でスクリーンの映像に合わせて「説明」をする場面は、その語り芸の意外な達者さも相まってとてもワクワクさせられた。

ただ、映画のもう一つの軸である盗賊団及びライバル興行主との争いやヒロインとの恋模様が全く面白くない。

サイレント映画という題材に合わせてあえて古典的なドタバタ活劇の形式を踏襲しているのは判るが、総じてテンポが悪く鈍重で、常連竹中直人の過剰な芝居も却って寒々しさに拍車をかける。

周防監督の資質に合わないような娯楽活劇など目指さず、より多くの様々な活動弁士を登場させて「映画と弁士」の物語を膨らませたほうが良かったと思う。
しゅう

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