のぢ

来るののぢのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
3.0
「告白」の監督らしいセンスでぶん殴ってくるタイプの映画でした

その分怖さは薄いなぁ…血はいっぱい出るから痛みは伝わってくるんだけど、描写がそれに頼ってる感じ。しかし序盤の田舎のジメジメした薄暗さと、昼夜を問わず襲ってくる「あれ」がすごくジャパニーズホラー映画という感じ。昼に襲ってくることで逃げ場がない、という緊迫感と絶望がGood

やっぱり「告白」の監督だけあって、サスペンス的な「人の醜い部分」の表現は素晴らしい!誰しも陰の部分があるということを改めて突きつけてくる。そこの気持ち悪さがこの映画のいちばん怖いところ
特に最初の田舎の人間関係と、結婚式の二次会の気だるさが際立って気持ち悪い

また、自己顕示欲の塊のブログとその裏にある崩壊しかかった生活の醜さ

そしてシングルマザーの苦悩、ストレスが長々撮られていて、それもまた心に重くのしかかる。
親であることと、一人の人間であることを天秤にかけた時、支えがなくては人は簡単に壊れてしまうということも、見ていて辛いものがある。

本作を見ると登場人物にどこか感情移入してしまう自分がいることに気づく。登場人物達の行動は程度の差こそあれ、自分が普段やっていることと似ているからだ
「お前は俺の鏡なんだ」このセリフは、観客である自分たちに向けられたものでもある。

「あれ」との対決である祓いのシーンは神道仏教を問わず、韓国式もあり科学もありのなんでもありの総力戦!なんだか怪獣映画を見るようなワクワクが込み上げてくる
怪獣映画好きな人は好きなシーンだろうな

ジャパニーズホラー映画入門としてもなかなか優秀かもしれない今作、おはやめにどうぞ!
のぢ

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