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来るのTSUBASAのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
3.9
【恐ろしいのは怨霊か人間か】82点
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監督:中島哲也
製作国:日本
ジャンル:ホラー
収録時間:134分
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2018年劇場鑑賞106本目。
待ってました。『告白』、『渇き。』というクセのある映画を送り出している中島哲也監督の新作。予想通りの変わった作品であり、上記二作品が生理的に受け付けない方には到底オススメできない作品です。他の方も言及している通り、評価がはっきり二極化しそうな作品といえます。今作のジャンルはホラーなので苦手な方はやや注意が必要です。

田原秀樹は香奈に一目惚れし、結婚をする。とあるマンションの一室で順風満帆な生活を送っているように見えたが。。

まず今作の良いところはホラー映画のはずなのにどこか笑えてしまう箇所があるところです。ホラー描写としてはそこそこのはずでして、苦手な人が見たら発狂するレベルでは?と思うのですがどうも作風が能天気。お祓いのシーンなんて大真面目のはずなのに大真面目すぎるからか、どこか滑稽に見えてしまう。こういうのを自信を持って作ってしまうこの監督がまた凄いと思います。

そして今作の面白いところは主人公が三人いるところでしょう。人によっては四人かもしれませんが、明らかにこの三人の視点で描かれています。最初の二人は言わずもがな秀樹と香奈なのですが、この二人がなかなかのクズなのです。特に秀樹に関しては側から見ると良き父親なのかもしれませんが、子どもの面倒を見ずに自己満のブログを掲載することしか頭のない能天気野郎ということがわかってきます。この妻夫木聡の演技がたまらなく気色悪くて良いです(褒めてます笑)。『渇き。』の時もなかなかでしたから妻夫木聡は中島哲也監督のお気に入りなのかもしれません。
それにしてもこの秀樹の行動はあからさますぎますが興味深いです。なぜならこういう自己顕示欲にあふれた行為を我々も知らず知らず行なっているからです。例えば有名人と写真を撮りたいのは何故なのか?別にお金が貰えるわけでもないのに。。答えは簡単であり、それをSNSやらブログに掲載し、「私は芸能人と写ってるんだよ。すごいでしょ」という主張に他ならないからです。ぶっちゃけ、側から見るとそんなことはどうでも良いことであり、人によっては嫉妬することもあるでしょう。この秀樹も同様であり、良き父親として妻と子どもを幸せにしているように見えますが、それをブログなどで世間に知ってほしいだけであり、本当に妻と子どものことを考えているのかは微妙なところなのです。このあたりがメインの要素ではないとは思いますが少し考えさせられましたね。

代わって香奈もなかなかのクズですから見ていて面白い。結局、1番怖いのは人間だわと思わずにはいられない。比較対象として姿が不鮮明な「あれ」が描かれていますが比較した結果あまり怖くないなと思えてしまいます。なので、今作は得体の知れないなにかを描いているホラー映画なのですが、この映画の本質は人間の中の欲望、嫉妬、葛藤をじわじわと描いているところにあるのでしょう。

妻夫木聡に松たか子、小松菜奈まで出ていますから中島監督作品のオールスターが出演しています。ここに役所広司が出てきたら目立ちすぎるため敢えて岡田准一というところでしょうか。恐らく中島監督の作品が好きな方が見ると、このカオスさがたまらないと思います。個人的には終盤がやや物足りなかったですが、まずまずのエンターテイメント作品と思えました。ただし地雷映画に変わりないのでご注意を。