TaiRa

来るのTaiRaのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
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中島哲也が12年ぶりに面白い映画作ったよ。

この10年で完全にダメなひと認定していたが、題材さえ合えばまだ面白いの作れるんだ。相変わらず下手なとこもあるけど。原作に倣って第一部は夫、第二部は妻、第三部は部外者であるライターの視点から描かれる。主人公が次々と変わって行く構成で、時たま過去に遡り視点を変え多角的に登場人物を描く事で、中島哲也らしい厭な人間観も見せつつ、人物を立体的に描いて行く。ただ露悪的に人間を描きがちな中島哲也の欠点を補える構成で良かった。第一部の主人公であるクソイクメンパパ妻夫木聡のクソっぷりを存分に見せつつ、彼が何故自分を偽りながら愚かであり続けるかも見せる。彼が純粋なクソではなく、ただ単純にバカな男である事も分かる。第二部の主人公である黒木華も殺伐としたリアリティの中で簡単に断罪出来ないバランスを見せる。この映画が2組の男女を軸にしていると分かる第三部の主人公は岡田准一。子供に対する葛藤と贖罪がテーマだとはっきりする。それに向き合えなかった男女と向き合う男女。得体の知れない何かがやって来て自らを侵食する恐怖の正体は子供そのものである。子供は恐ろしいものだ。災いをもたらす。自分の人生を食い潰される恐怖や命に対する責任の恐怖、社会の目、反映される自身の親と自分の関係。一度拒絶された恐怖=子供は最後に大きな夢と共に肯定される。神も仏も大集合した聖夜に。

オープニングテーマがキング・クルーなのはキング来るーっていうダジャレですか?
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