まったくノーマークだったけど、なかなか面白かった。ホラー的な面白さ以上に、意地悪現代風刺ドラマ的な面白さが光る。
予告やテレビCMを見る限り、まーた中島哲也が変なことやってるよ、びっくり箱的なホラーでしょくらいに思ってたけど、良い評判、悪い評判いろいろ見て、なんか気になってしまった。よーく考えてみたらこんだけ実力派キャスト揃えてるし、俳優の引き出し方は中島監督いつも上手いんだよなあ。
ホラーがあまり得意ではない自分としては、適度に怖がれて、適度に気持ち悪がれる、ちょっといい塩梅。三部構成のうち、ラスト一部のシュールさ爆発の演出・展開は好き嫌い分かれると思うけど、わりと楽しめる口だった。
むしろ、一部と二部のブラックホームドラマが一番の見どころだった。中島監督のアクが強いポップ演出と、世の中に対する皮肉や嫌味たっぷりの最悪の人間ドラマ。これ大好物。相変わらずのベタでいちいちオーバーな演出だけど、キャスト陣の好演で全然見れる。妻夫木くんは、最近こういう薄っぺらい感じが板についてきたなーと思いつつ、第二部は黒木華の独壇場。この人は本当にこういう悲惨な境遇の役が本当似合う。最近テレビ、映画で常に目にしてる気がするが、いつも雰囲気がガラッと違うの、本当すごい。
中島哲也監督作品はとにかく味が濃い。物によっちゃなんでもごった煮状態で、胃もたれすることもあるんだけど、今作はご飯が進むタイプの作品でした。ちゃんと嫌な気分を味わえるけど、後に引かず純粋に、あー面白かったって言えるタイプの作品だったし。今まで観たことなかったけど、霊媒師ものというジャンルがあるなら、とっかかりにはいいかもしれない。
