河豚川ポンズ

来るの河豚川ポンズのネタバレレビュー・内容・結末

来る(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ビジュアル系除霊ホラーエンターテイメントな映画。
キャストはめちゃくちゃ豪華なのに、色々吹っ切れたホラーやってて、終盤になればなるほど怖くなかった、すごい。


東京でサラリーマンとして働く田原 秀樹(妻夫木 聡)は、香奈(黒木 華)と結婚し、程なくして長女の知紗(志田 愛珠)も生まれて円満な家庭を築いていた。
他人から見ればおしとやかな妻である香奈と、ブログからでも分かるイクメンぶりで家庭を思いやる秀樹の夫婦は理想的なように思えた。
しかしその実態は、秀樹は子育てそっちのけでブログに没頭し、香奈は全く協力してくれない秀樹の態度からノイローゼを起こしていたりと、ブログとは大きなズレが生まれていた。
そんな日々に、秀樹の職場で彼に来客の連絡を取り次いだ後輩の高梨 重明(太賀)が突然出血を起こし入院、その1年後に亡くなってしまう。
その後、秀樹たちの周りでは御守りがズタズタに引き裂かれたり、部屋を荒らされたりと不可解な現象が頻発するようになる。
困り果てた秀樹は親友で民俗学者の津田(青木 崇高)から、ライターの野崎 和浩(岡田 准一)、そしてキャバ嬢で霊媒師の比嘉 真琴(小松 菜奈)を紹介してもらうのだった。


「これはホラーなのか?」と聞かれたら、「いや、たぶんそういうのとはまた違うんじゃないかな。」とよく分からない感想が出てくる、それがこの映画のすごいところ。
家中の鏡を叩き割る妻夫木聡や、片腕をやられ血塗れで読経する柴田理恵、血塗れで息絶える黒木華、全力で松たか子に殴られる(演技をする)岡田准一、日本中の霊媒師を総動員して除霊しまくるなど、とにかく画面上でのインパクトが凄まじい。
本当にこれは小説原作なんだろうか…
出てくるキャラクターは片っ端から強烈な個性を放ってるし、特に柴田理恵は今まで見たこと無いような渋さとかっこよさ。
こんなキャラクターも出来るなら、普段のテレビドラマのサスペンスじゃ勿体ないぐらいだし、もうこのキャラクターでスピンオフ作ってくれても良いぐらい。
起こる出来事も、凄まじい荒れ方をするポルターガイストだったり、中華料理店に飛び散る血飛沫だったりと、ジャンプのバトル漫画みたいな描写の連続。
本当にこれは小説原作なんだろうか?

じゃあ面白いとか笑えるとかなのかなというと、笑えるところはあるものの、どちらかと言えば居心地が悪いというか、胸糞悪い話が多い。
なんやかんやで霊を呼び寄せてる原因の人間たちが皆が皆、何かしら闇を抱えてたり虚栄心全開だったりで、当然呪い殺されもするわと、もう同情のしようもない。
最初あたりで主人公かな?と思ってた秀樹も、イクメンと見てもらえることで自己満足しようとするだけのちっぽけな人間だったりしたし、その妻の香奈も夫の死をきっかけに忌み嫌っていたはずの母親と同じようなことをするようになっていってしまう。
その他も挙げるとキリがないけど、そうなってくると一番まともなのは野崎と真琴ぐらいしかいない。
呼び出されてしまった「何か」も結局劇中では原因や正体が完全に明かされることはなく、その前に目的と行動原理だけが説明される。
まあそのあたりのことは正直全然気にならず、その「何か」と救えるかもしれない知紗に対して、主人公である野崎と真琴が成長することで立ち向かうというストーリーは、すごくストレートな話でこれなら普通に続編とかも出来るんじゃないかな?と思う。

まあ単純に岡田准一の野崎と小松菜奈の真琴、松たか子の琴子をもう一度観てみたいってのもあるけどね。