くわまんG

来るのくわまんGのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
5.0
あらすじ:人間は弱いから、保身を第一に考えがち。そんな人間が作る社会は、蹴落とし合いになりがち。そんな社会を生きてたら、痛みを感じるのは当然。その痛みは言うなれば、人類が紡いできてしまった負の連鎖。だからどうか、貴方の代でこれを断ってほしい。この痛みの根源を、癒してほしい。貴方と同じように、痛みに苦しむ人と手を繋いで。貴方たちと、その子供たちのために。

他人に認めてほしい妻夫木聡、他人に依存したい黒木華、他人を見下したい青木崇高。一度きりの人生、自分さえ気持ちよければいい三人。自分の快楽のために他人を操作しようと試み、当然不和が起こり、その度に「私は悪くない」と自分に嘘をつき続け、ツケを払うことに。三者三様の愚行演技、お見事でした。

一方、罪悪感と向き合い始めた岡田准一と、自己断罪をやめられない小松菜奈。弱く脆いからこそ捻り出せる、人間の底力を見せてくれました。親が子供に対して、絶対に言ってやらねばならない台詞はただひとつ、「お前のためなら死ねる。」なんですね。

相変わらず、売れないサンプリング音源のような演出も大好き。この壮大な悪ふざけ人間賛歌を、大真面目にやってくれる中島哲也監督に敬礼。ジャパニーズファンタジーここに極まれり!