メイマーツインズ

あの日のオルガンのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
3.0
《53人の子どもの笑顔を守る》

太平洋戦争末期の1944年、東京の子どもたちを守るために埼玉に疎開保育園をつくった保母さんたちの実話奮闘記を映画化。
U-NEXTで初鑑賞。

独身時代ならまず観なかったであろうこの作品。
今や子ども3人の父親だから、この物語は平常心では観ることはできない…
1945年3月10日の東京大空襲から53人の子どもを疎開させて救った戸越保育園。
疎開地で開園するまでの苦難、開園してからの苦労も丁寧に描いてあり、保育園関係者の切実な想いが伝わってくる。
主演の戸田恵梨香。彼女にはこういう芯の強い女性がよく似合う。名優・橋爪功の彼らしい飄々とした佇まいがこの作品を重苦しくなく、ユーモラスなものにしている。

題材が素晴らしいだけに、ちょっと苦言を…
戦時中の空気感が作品から漂わない。美術・衣装が中途半端で、映像に軽さを感じる。こういう歴史を題材にしているのなら、映像はもう少し重厚感があった方がいい。
キャストも今風な雰囲気で違和感がある。だから情感が薄く、作品の世界に引き込まれない。
そういう意味でとても残念な作品になっている。平松恵美子監督は、山田洋次監督の弟子だから作風は似ているけど…

3人の子どもの父親として、子ども保育に尽力されているすべての方々に感謝と敬意を表したい。