ゆいはん

あの日のオルガンのゆいはんのレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦中の1944年、品川区の戸越保育所で働く保母の板倉楓(戸田恵梨香さん)は空襲がくることを恐れ、園児たちの疎開を考えていた。所長の脇本滋(田中直樹さん)が疎開先である埼玉県の寺を見つけ、楓たちは子どもたちを守るために疎開保育園を実施する。

実話を基にした作品。作品に登場してきた健ちゃんという子どもは現在も生存されているかた。

第二次世界大戦のことは教科書では習うが、疎開保育園というのはこの作品で初めて知った。実話を基にした作品というのもあり、子どもたちを守るために奮闘する保母さんの姿には心を打たれる。平成という平和な時代である今だからこそ、観るべきな作品ではないかと。また子ども=未来なのだと感じた。子どもたちを守るということは未来を創ることなのだと。実際に疎開保育園があったからこそ、1945年3月10日の東京大空襲を逃れて生きた子どもたちがいる。

戸田恵梨香さんのファンというのもあり、彼女のお芝居に注目。目のお芝居が魅力的な彼女のお芝居は、この作品でもその魅力が健在だった。微笑み、怒る、葛藤、絶望など、それらすべてを目だけでも表現できる彼女のお芝居にゾクッとしたほど。なかでも後半にある絶望のシーンは圧巻そのものだった。

彼女の出演作品の中で実話+戦争ものに出演したのは初。プレミア上映会で鑑賞できたというのもあり、戸田恵梨香さん本人の口からこの作品を引き受ける際の葛藤も聞くことができた。板倉楓は彼女が演じて間違いないと確信させてくれるお芝居だった。
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