さとし

あの日のオルガンのさとしのレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
4.3
これは傑作です。間違い無いです。以上!
と言いたいところですが、2点を除いて傑作にほど近いものがあります。
涙無くして見られないというのはこういうことなのかと思いました。
そこらにあるコマーシャル映画とはワケが違います。本当にワンワン泣いてしまい、自分はこんなにも涙もろいのかと思いました。見てよかった。こういう作品に出会った時に映画っていいなと感じますね。もう騙されたと思って見てください。何かが起きるはずです。

太平洋戦争末期に東京の品川にある保育園で園児約20人を預かったのですが、空襲が迫ってくるということで埼玉南平野村(現・蓮田市)のお寺へと疎開します。保母さんたちと空襲に巻き込まれたくないと願う親たちの元を離れた園児たちは様々なタイプの保母に見てもらいながらの生活が始まります。園児の中にはオネショする子や甘えて仕方がない子たちもいて保母さんたちはてんやわんやです。そんな彼女たちの強いリーダーの楓(戸田 恵梨香)はいつもシャンとしていて凛々しい感じです。そして、もう一人注目はみっちゃん先生(大原 櫻子)の成長です。

主演の戸田さんはボスというよりリーダーという感じで、強さと柔軟性を兼ね備えた存在です。サッカーに例えるならキャプテンというか辛い時や精神的に追い込まれた時に彼女のような存在がいると頼もしいの一言です。おそらく彼女はこの映画がきっかけで新境地を開くのではないでしょうか?多くの女性が共感しそうな役です。素晴らしかったです。大原さんは弱さの中に優しさを持つ存在ですね。彼女はほんわかとしています。役所のキャラが子供だから園児に好かれるところがあるのでしょうね。でも、大人はそんな彼女の存在をなかなか受け入れてくれないでしょうね。戸田さんとのバランスが絶妙です。その他、佐久間さん、夏川さん、ココリコの田中さんそして、橋爪さんが出演しています。

監督と脚本は「ひまわりと子犬の7日間」で監督デビューをし山田 洋次監督の「家族はつらいよ」シリーズ「母と暮せば」等で助監督と共同脚本を歴任した平松さん。音楽は「8年越しの花嫁」の村松さん、撮影は近森さん、原作は久保さんの「あの日のオルガン 疎開保育園物語」です。

好きなシーンはケンちゃんとみっちゃん先生が川で石を投げてるシーン、楓先生がついに折れるシーン、みっちゃん先生と好子さんの駅のシーン子供たちが
みっちゃん先生に枯葉をかけるシーンそして、楓先生が泣くシーンです。

ただし、楓先生がついに折れた次の日に全てが終わってしまうというのはちょっと急ぎすぎなようにも思います。あと、できれば田中さんでない人を園長先生をやってほしかったです。田中さんのファンの方ごめんなさい。

いずれにせよ、今のところ今年1番の傑作です。1年が終わるまでにはこの作品を超える作品がいくつ出てくるか楽しみです。ひょっとしたら出てこないかもしれませんね・・・。
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