疎開保育園ダイアリー的。大きなクライマックスを作ってそこに向けて盛り上げるつくりにはなってない。ほほえましい光景も胸苦しいシークエンスも、どこを取ってもいいなと思った。丁寧に作られている気がする。
戦争の悲しさを伝える映画だけど、楓と光枝を中心とした青春群像劇でもあって、ちょっと朝ドラに近いノリも感じた。見やすい。「怒りの乙女」というキャラづけもいい。ちゃんと怒ること、そうして怒っている人を見ることが救いになるときもあるんだなあと思う。
戸田恵梨香さんの出演作はわりと見てきたけど、部屋でひとり遺骨を撫でるときの楓の顔は初めて見た表情だった気がする。この人が演じると、喜怒哀楽が(特に悩みや苦しみが)本当らしく見える。
映画の中身もよかったけど、こういう映画が売れっ子のキャストを迎えて丁寧に作られて2019年に公開されたっていうことも(文化庁の補助金が出ているとはいえ)よかった。なんか安堵するような気持ち。